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岡山地方裁判所 昭和51年(わ)717号 判決

本店の所在地

岡山市表町二丁目一番四一号

法人の名称

株式会社光商店

代表者の住居、氏名

岡山市表町一丁目一〇番二〇号

佐藤豊

本籍

岡山市撫川四二三番地

住居

同市表町一丁目一〇番二〇号

会社役員

佐藤豊

大正一五年二月一九日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官水谷高司出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社光商店を罰金一、〇〇〇万円に、被告人佐藤豊を懲役一〇月に処する

被告人佐藤豊に対し、この裁判確定の日から二年間、その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社光商店は、岡山市表町二丁目一番四一号に本店を置き、繊維製品等の販売を営むもの、被告人佐藤豊は被告会社の代表取締役として業務全般を統括管理しているものであるが、被告人佐藤は被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て

第一  昭和四七年一〇月一日から昭和四八年九月三〇日までの事業年度における被告会社の所得金額三、八八九万八、八五九円で、これに対する法人税額は一、三九四万三、五〇〇円であるのに、被告会社の売上げの一部を除外して公表帳簿に計上せず、これによる簿外利益を仮名貸付信託にするなどの方法により、所得の一部を秘匿したうえ、昭和四八年一一月三〇日、所轄の岡山市天神町三番二三号岡山税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額は一、一六七万二、九三〇円で、これに対する法人税額は三九三万七、九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右事業年度の法人税一、〇〇〇万五、六〇〇円を逋脱し、

第二  昭和四八年一〇月一日から昭和四九年九月三〇日までの事業年度における被告会社の所得金額は五、七六二万七、〇九〇円で、これに対する法人税額は二、二二八万七、六〇〇円であるのに、前同様の方法により、所得の一部を秘匿したうえ、昭和四九年一一月二九日所轄の岡山市天神町三番二三号岡山東税務署において、同税務署長に対し、所得金額は一、三四三万八、〇二五円で、これに対する法人税額は四六一万二、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により法人税一、七六七万五、六〇〇円を逋脱し、

第三  昭和四九年一〇月一日から昭和五〇年九月三〇日までの事業年度における被告会社の所得金額は九、三四三万九、五四八円で、これに対する法人税額は三、六三八万一、三〇〇円であるのに、前同様の方法により、所得の一部を秘匿したうえ、昭和五〇年一二月一日所轄の前記第二記載の税務署において、同税務署長に対し、所得金額は三、三四七万八、〇八一円で、これに対する法人税額は一、二三九万六、九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により法人税二、三九八万四、四〇〇円を逋脱し

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実

一  第一回公判調書中の被告人佐藤の供述部分

一  被告人佐藤の当公判延における供述

一  商業登記簿謄本

一  被告人佐藤の検察官に対する各供述調書(二通)

一  被告人佐藤の大蔵事務官に対する五一・三・二三付、五一・三・二四付、五一・三・二五付、五一・四・七付、五一・五・二六付、五一・六・三付、五一・六・二四付、五一・七・七付、五一・九・七付各質問てん末書

一  大蔵事務官(角田訓次)作成の五一・四・一七付、五一・五・一二付(二通)、五一・六・二付各調査事績報告書

一  大蔵事務官(木下信二)作成の五一・七・二八付(二通)、五一・七・三〇付(二通)、五一・八・二付(三通)、五一・九・一一付(二通)、五一・八・三付各調査事績報告書(なお、七・二八付は「定期預金額の確定について」と「仮払金(過納源泉所得税)の確定について」である。)

一  大蔵事務官(松田重政)作成の五一・一〇・一六付調査事績報告書

一  中国銀行本店営業部長作成の五一・三・二五付証明書

一  押収してある総勘定元帳一綴(昭和五三年押第三〇号の一)、給料明細帳一綴(同号の八)、(株)光商店法人税決定決議書綴一綴(同号の一四)、無題ノート入封筒一袋(同号の一五)

判示第一事実

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和四八年九月期分)

判示第二事実

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和四九年九月期分)

判示第三事実

一  被告人佐藤作成の法人税再修正申告書謄本(昭和五〇年九月期分)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(昭和五〇年九月期分)

(法令の適用)

被告人佐藤豊の判示各所為は法人税法一五九条一項に該当するので、所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四七条本文、一〇条により犯情最も重いと認める判示第三の罪の刑に法定の加重をし、その刑期の範囲内で同被告人を懲役一〇月に処し、情状により同法二五条一項を適用して、この裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。

被告会社については、判示各所為は法人税法一六四条一項一五九条一項に該当するが、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で被告会社を罰金一、〇〇〇万円に処することとする。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 三島昱夫)

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